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UmaMukaiyama AncientTomb
宇摩向山古墳
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宇摩向山古墳第6次調査[2008(平成20)年度調査]



 発掘調査の概要 
     これまでの調査では、墳形及び墳丘規模の確定を第一の目的として実施してきました。その結果、墳丘北側での周溝の検出南側での列石の検出により、墳裾を確認することができました。そこから復元される墳形は長方形墳であり、周溝の状況から、少なくとも最終段階においては両石室は同一墳丘に配置されており、所謂一墳丘二石室墳であったと考えられます。その規模は周溝の外周を含めると東西70m(復元)、南北50mを測り、石室同様四国はもちろん全国的にも屈指の極めて巨大な墳丘であったと考えられます。
     第6次調査ではこれらの成果を総合的に捉えながら、新たなトレンチを設定して墳丘築造と石室構築の過程を復元的に検証することを目的として調査を実施しました。
墳丘構造の総合的な把握

02トレンチ完掘状況(南西から)  これまでの調査との総合的な検討から、石室構築以前にまず丘陵全体の整形を目的として盛土が施されたと考えられます。この石室構築以前に実施された大規模な土木工事を重視し、この段階の墳丘をそれ以後のものと区別して仮に第一段階墳丘と呼んでいます。
 墳丘築造以前の旧地形は北東から南西方向、特に東から西に向けての傾斜が現在よりも急傾斜で、2Trで確認した最大2mを超える大規模な盛土はそれを克服するためのものと考えられる。地形復元から、向山古墳は石室南側には段が形成される「段築構造」を持つ古墳であると考えられます。削平により不明な部分もありますが、現状では上述の石室構築以前の丘陵全体の整形に伴う第一段階墳丘と、石室を内包する第二段階墳丘の大きく2段階に分けられます。
各段階の墳丘築造と石室構築
〔盛土単位と第一段階墳丘の築造〕
 以前の調査でも示したとおり、盛土は5cm前後を最小単位(細分層)として、50cm前後で大きな単位(大分層)を形成しており、この大分層が築造過程に大きく関わっているものと考えられます。さらに大分層の複数層をまとまりとして、第一段階墳丘の中でも墳裾の形成と第二段階墳丘方向への墳丘形成とその間を充填する盛土の大きく3段階に分けられます。この第一段階墳丘に関わる盛土は全体的に堅緻に締められているものが多く、一部の層では地山と判別し難いほどです。

〔第二段階墳丘と石室の構築〕
16トレンチと2号石室(南西から)  これと比べて、第二段階墳丘の盛土はやや軟質で地山由来の山礫も拳大を中心とした比較的大きなブロックで含んでいます。16Trでは2号石室と墳丘盛土との関係が明確に確認でき、墳丘築造と石室構築が大分層単位を基準にして同時併行で進められた可能性が高いと考えられます。つまり、盛土を一定程度施した後、石室石材を搬入し、さらにその石材に対応した盛土を施した後、次の石材を搬入するという構築過程であったと考えられます。一方、1号石室東側の18Trの盛土はやや複雑で、同様に墳丘と石室構築が同時併行である可能性は高いものの、16Trのように明確には確認できていないため、今後、両トレンチの中間地点での確認調査も必要と考えられます。
まとめ−墳丘築造過程と石室構築過程の復元−
 今回の調査により、これまで検討が困難であった墳丘全体の層位と築造に関わる過程を、総合的に評価することが可能となりました。これにより、四国最大の長方形墳の築造過程の復元が高い水準で可能となりました。このような調査例は稀であり、とりわけ、古墳時代終末期において、全国でも屈指の規模を誇る向山古墳の墳丘築造過程の復元は、今後、日本における古墳の墳丘構造を検討する上で、欠くことのできない成果になるものと考えられます。
 バックナンバー 

  1. 向山古墳第1次調査の概要【2003(平成15)年度調査】
  2. 向山古墳第2次調査の概要【2004(平成16)年度調査】
  3. 向山古墳第3次調査の概要【2005(平成17)年度調査】
  4. 向山古墳第4次調査の概要【2006(平成18)年度調査】
  5. 向山古墳第6次調査の概要【2008(平成20)年度調査】 (表示中)

  • Release 2009/01/26
  • Update 2009/12/09
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